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知ってた?「タイムカード」は厚労省も使わない!(2025.1.14)


事業主:タイムカードで勤怠管理してるんだけど、早く出社して打刻してからのんびりコーヒー飲んでる人もいて、ほかの方法を検討したい。


ありがちですね。


実際、タイムカードというのは勤怠管理ツールとしてはさほど有効ではありません。


ほかならぬ厚生労働省がタイムカードを採用していません。


だいぶ古い資料ですが2003年の国会における質疑(質問主意書)で、厚生労働省はタイムカードを用いない理由について次のように答弁しています。


「タイムカードのみでは職員の正確な勤務時間が把握できないことから、勤務時間管理の手法としてタイムカードの導入は必要でないと考える」


「機械的に登庁及び退庁の時刻を記録するタイムカードのみでは職員の正確な勤務時間が把握できない」



この答弁記録は官報の号外として公開されています。


参考までに画像も上げておきますが、ともかく厚生労働省としては「タイムカードのみでは職員の正確な勤務時間が把握できない」と二度も繰り返しています。


そしてどうやらその理由は「機械的に登庁及び退庁の時刻を記録する」という、まさにタイムカードの機能そのものにあるらしい。


この質疑は2003年のもので、当時は「勤務時間等報告書等を適切に管理することにより」勤怠管理を行っていたそうです。だからおそらく紙で管理してたのでしょう。


流石に20年以上経過して、今は別の方法だろうと思い、電話で聞いてみました。


それによると、今はオンラインのシステムによる管理だそうで、パソコンを立ち上げるとそれに連動して出勤の記録が付くようになっているのだそうです。


タイムカードのような建物に入ったタイミングでの打刻ではなく、より業務に密接に関係するパソコンとの連動ということで、確かにタイムカードよりは正確ですね。


なお外勤の場合は後から申告する方式だそうです。


もちろんこの場合でも、パソコン立ち上げてから仕事せずにネットサーフィンしていたらとか、きりがない議論は残ります。


とはいえ、労働行政の本丸たる厚生労働省が「タイムカード否定派」で、過去も現在もタイムカードは採用していないというのは面白いですよね。


町の中小企業規模で厚労省のようなシステムを導入できるか、導入すべきかは、資金力次第です。


タイムカードも無益なわけではなく、ある程度の勤怠管理には役立ちますし、きちんと定時で勤務したんだなという合理的推量くらいは可能にします。


ただ助成金手続きをやっていた身からすると、やはりタイムカードだと、外形上は未払い残業を発生させやすいのが痛い。


本当は勤務していなかった「朝15分」とか、「タバコ休憩」とか、そんなところまで勤務時間としてカウントするのは不合理です。


タイムカードで管理しつつ、法定帳簿たる出勤簿は別で用意するというのが理想です。


あくまでタイムカードは出勤簿作成のための基礎資料です。


実際、この運用こそが厚生労働省が求める運用そのものとも言えます。というのも厚労省が出しているガイドラインにはこうあるからです。


「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」


タイムカードをそのまま出勤簿として採用するのではなく、その「記録を基礎として確認し」なのです。そのうえで「適正に記録」することを求めています。


他方で助成金審査の時は、この理屈は間違いなく嫌われるし、提出した出勤簿と別にタイムカードがあると知れたら、「不正受給だ!」と言われるでしょうが、助成金手続きをしなければ大丈夫です笑


この助成金審査における取り扱いとのギャップは悩ましいもので、例えばキャリアアップ助成金のパンフレットには次のようにあります。


「原本から加工・転記したものや別途作成された書類が提出されていること明らかとなった場合、不支給決定となります」


つまりもし行政側がタイムカードこそ原本、それを基礎資料として作り直した出勤簿は「別途作成された書類」だと考えたなら、不支給決定になりかねない。


もちろん異議を述べて戦うことはできるでしょうが、途方もないエネルギーを使います。私ならやりたくない。


話が逸れましたが、タイムカードのデメリットは厚生労働省も認めるデメリットなので、運用に当たってはタイムカード頼り切りにしないことが大切です。


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