ブログ/Youtube

努力義務って何の意味があるの?(2025.1.10)

社労士:「2025年4月からは

3歳未満の子を育ててる従業員に

テレワークを選択できるようにする、

努力義務が課されますよ」


事業主:「努力義務なんて

何の意味があるの?

罰則ないんでしょ?」


ありがちな疑問ですね。


確かに努力義務というのは

罰則のような強制力を持ちません。


従わなくても罰せられない義務なんて無意味、

と思うのも分かります。


一般論として努力義務が持つ意味・意義は

次のようなものが挙げられます。


・上場企業のように

社会的評価が重要な意味を持つ企業にとっては

無視できない義務である


・損害賠償請求を受けたときなど、

努力義務違反があると不利に作用する


・努力義務違反の是正について、

行政指導を受ける可能性はある


・義務を履行していれば、

努力義務が「義務」に格上げされた時、

円滑な対応ができる


これらを見る限り、努力義務は

大企業にある程度の対応を促す効果は

ありそうです。


企業規模が大きくなるほど

取引先、株主、顧客と利害関係者が増えます。


損害賠償リスクは膨らみますし、

社会的評価にも敏感にならざるを得ません。


私のように助成金手続きを長くやっていた

社労士からすると、

努力義務にはもう一つ、

あまり言及されることのない効果があるように思います。


それは、行政の政策を方向付けるという効果です。


努力義務が法律に明文化されると、

行政はその目指すベクトルと異なる方向性の

政策は打てなくなります。


例えば、

冒頭挙げたテレワークの努力義務が存在する以上、

「出社促進キャンペーン」は打てませんね。


対面でリアルに仕事を進めた方が、生産性は上がる

という考えに基づいて、

「さあみんな出社して!

出社率の高い会社には助成金出すよ!」とは

やれないわけです。


この行政への拘束力は、

努力義務と言えどかなり高い。


テレワークの努力義務が課されるようになると、

テレワーク導入を手助けする助成金が組まれたり、

助成額が引きあがったりする可能性があります。


街の中小零細企業の規模だと、

努力義務が持つ暗黙の強制力より、

こうした助成金を通じての影響の方が

実感しやすいかもしれません。


また人材の獲得戦略を講じるうえでも、

何が努力義務か、は重要です。


努力義務を誠実に守っていればいるほど、

労働者の目からは魅力的な企業に映ります。


人手不足時代には、

労働者から選んでもらえる会社にならないと

人材確保が困難です。


努力義務は無意味と思っているようなら、

少し着眼を変えて

努力義務にこそ活路ありと捉えるべきでしょう。


Youtube チャンネルもやっています




このページのトップへ