急に来なくなるバイト対策 「最後の給与は現金手渡し」(2024.12.18)
(最近受けたご相談より)
事業主:バイトが急に来なくなることが多い
どうにかして防げないだろうか?
社労士:雇用契約書に
「退職時の給与は現金手渡しとする」と
入れておくのはどうでしょう?
私も20代のころはサラリーマンでしたから
「急に来なくなる」という場合には
会社側にも問題があることは承知しています。
とはいえ、だからと言って
社会に出て働いている人間が
「急に来なくなる」という
強引な辞め方をしていいのかと言えば
そういうわけでもありません。
そして事業主側は
そうした事態への対策を練ることが
必要になるのもやむなきこと。
この「退職時の給与を現金手渡し」という対策は
ワリとポピュラーなものです。
こうすることで
強引な辞め方を抑止することができます。
一見、ブラックに見えるかもしれませんが
実は「現金手渡し」のほうが労基法に忠実な
給与支払いの形態なのです。
まず給与支払いには5原則というものがあります。
1 通貨支払いの原則
2 直接払いの原則
3 全額払いの原則
4 毎月払いの原則
5 一定期日払いの原則
「現金手渡し」はこの5原則のうちの1~3、つまり
「現金で、直接本人に、全額支払う」ということです。
世間の大半の会社は給与を銀行振込で処理しているでしょう。
しかし、労基法の上記原則から言えば
銀行振込のほうが「例外」で、
現金手渡しこそが「原則」なのです。
銀行振込は労働者が合意すればそれでもよい、というだけ。
ですから通常は振り込みで処理していても、
最後の給与だけ原則に戻しても
それ自体には何の問題もないわけです。
もちろん、振込に合意しているのに、
断りもなくいきなり現金手渡しにしてしまっては
さすがに問題があるでしょう。
就業規則か雇用契約書において
事前に明示しておくことは重要です。
やはり引継ぎや貸与物の返還など
必要な手続きもありますし、
会社に不満があるにせよ、一人の社会人として
手順を踏んで退職することを求めるのは
そう不当ではないでしょう。
同時に、平和裏に円満退社するケースでは
今まで通りの振込処理でも構わないですよね。
ですから
「会社と労働者の間で
別段の合意をした場合はこの限りではない」
という留保を入れておくのも一案です。
最近はやりの退職代行の業者が
「使者」だと言って
給与を受け取りに来たらどうでしょうか?
この場合、「本人に直接」という原則には反することになります。
だいたい、本人以外の「使者を名乗る人間」に
ホイホイ現金手渡しするのは危険です。
ですから、基本的には断れると私は思います。
本人以外の人間で渡していいのは
使者ではなく「代理人」として来た弁護士くらいでしょう。
ご両親ですら、家族仲はうかがい知れない以上
やめた方がいいと考えます。
もちろん交通事故で入院しているなどの
特殊事情があれば話は別ですが。
ただあまり頑なに対応しても不毛ですし
本質的には給与は払うべきものですから
使者や代理人を介してでも
一定のコミュニケーションが取れたなら
振込という形で支払うのが穏当ではないでしょうか。
そもそもこれは抑止力を期待した規定であり
それをもぶっちぎって強引に辞めたなら
それ以上戦う理由は乏しいはずなので。
なにより「強引に辞められた」なら
会社にも何らかの改善点がある可能性が高いです。
そこを直視することも
経営者には必要です。
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